SE歴20年・2歳9ヶ月の息子を持つ筆者(ムラサキ)が、スイミングスクールの進級テストに合格できた経緯を記録します。前回記事「初版:成功ゼロの試行錯誤」(2026年4月公開)の続編です。3月時点で効果がなかった「親が見本を見せる」が、3週間遅れで効いていました。次の壁である顔つけにも同じ作戦を続ける予定です。(2026年5月時点)

プールでの様子は妻からの伝聞ですが、お風呂での進展は筆者も立ち会えました。「あ、いまできた」と妻と顔を見合わせた瞬間が、親としての小さな勝利でした。
3週間後にぶくぶくが動いた──お風呂での進展
成功は自宅のお風呂で
成功の場は自宅のお風呂、親の前です。妻と筆者が交代でぶくぶくの見本を見せ続けた結果、ある日突然、息子が口を水につけて短く息を吐きました。恐る恐るですが、確かにぶくぶくでした。
前回記事で「ほぼ無視」と書いた作戦3(親が見本を見せる)が、3週間遅れで効いていたことになります。すぐには効きませんでしたが、繰り返し見せ続けたことで「やってみてもいいかも」というスイッチがどこかで入ったようです。
進級テストでクリア、最初の級から1段階上へ
2026年4月の進級テストで合格できました。通っているスクールでは毎週決まった曜日に進級テストの機会があり、その積み重ねの中で合格できた形です。バブリングの項目もクリアしての合格でした。
ただし「ぶくぶくをマスターした」わけではありません。お風呂でも毎回成功するわけではなく、できる日とできない日があります。一度できたという段階です。1歩前進ですが、しっかり前に進んだというより、よろよろの1歩に近い感覚です。
なぜ3週間も遅れて効いたのか──模倣学習の蓄積仮説
「その場で再現しない」≠「学習していない」
厚生労働省の保育所保育指針では、1歳以上3歳未満の発達特徴として「自我の育ち」「自己主張」が挙げられています。今回の経験で痛感したのは、2歳児の模倣学習はその場で再現されないだけで、内側では蓄積されているという事実です。
3月時点でぶくぶくの見本を見せたとき、息子の反応は「ふーん」という表情でほぼ無視でした。親としては「効いていない」と判断しがちですが、本当は見ていないわけではなく、やる気がないわけでもなく、ただ「いま自分がやる動機」がなかっただけのようです。
「やる気スイッチ」は外から押せない
3週間という期間は、わが家にとってちょうど良い長さでした。短すぎたら親が焦る、長すぎたら親が諦める。3週間は「無理かもしれないと思いつつ続けられる」期間です。
ベビースイミング協議会のQ&Aでは「楽しいことがたくさん増えてくると、『私も潜ってみようかな』と思うようになる」と指摘しています。やる気は外から押せず、内側で湧くタイミングを待つしかない。今回の進展は、この言葉通りの展開でした。

親の見本は無駄じゃなかった、と分かったのが今回の一番の収穫です。「やって見せても無視」だった3月時点で諦めなくてよかった。
ご褒美なしで進展した──筆者の方針への確信
物で釣る方式は使わなかった(筆者は)
筆者の育児方針は「怒らない、待つ、好きにやらせる」で、ご褒美で行動を促す方式は採用していません(不登校だった自分が親になって考える教育方針で詳しく書きました)。今回ぶくぶくがご褒美なしで進展したことで、この方針には一定の確信が持てました。
何かを達成するたびにご褒美が必要になると、ハードルはどんどん上がります。「ご褒美がないとやらない」という条件付けは避けたい、というのが筆者の立場です。これはイヤイヤ期の正体と5つの解決策でNG行動として挙げた「ご褒美で毎回釣る」とも地続きの考え方です。
妻は妻のやり方──家庭内で方針が違っていい
一方で妻は、必要に応じてご褒美を使うこともあります。プール後のお菓子、頑張ったご褒美のおもちゃ。筆者と妻で方針が違うこと自体は、わが家では当たり前の状態です。詳しくは2歳児に怒らない育児|父親が実践する叱り方と本音で書いた通りで、夫婦で方針を統一する必要はない、というのが筆者の結論です。
今回のぶくぶく成功も、妻のご褒美方式が効いた可能性は否定できません。お風呂での見本という筆者の作戦と、プールでのご褒美という妻の作戦が、両方走っていた状態だったからです。どちらが効いたかは正直分かりません。ただ筆者の方針単体で見たときに「ご褒美なしでも動いた」という事実は残ります。
次の壁は「顔つけ」──デジャヴのような展開
反応はぶくぶくの時と完全に同じ
ぶくぶくをクリアした次の進級項目は「顔つけ」です。顔全体を水につけて出す動作です。これに対する息子の反応は、3月時点のぶくぶくと完全に同じです。
無言で拒否、親が促してもスルー、ただ「やらない」。デジャヴのような展開です。
視界がなくなる恐怖が顔つけ特有のハードル
筆者の推測ですが、視界が水で覆われることへの恐怖が顔つけ特有のハードルだと考えています。本人にどう映っているかは正直分かりません。ただ、ぶくぶくは口だけ水につける動作なので目は開いたまま。一方の顔つけは目を閉じて顔全体を水に沈めます。視界がなくなる瞬間への抵抗が、ぶくぶくとは別の壁を作っているのでしょう。
ベビースイミング協議会のQ&Aが指摘する「顔は神経が集中する場所で、水をかけたりもぐったりする不快が他の場所より強い」という説明は、ぶくぶくにも顔つけにも共通します。それでも息子の中では、ぶくぶくと顔つけで難易度が違う。発達のステップは、大人が想定するより細かく刻まれているようです。
顔つけにも「3週間ルール」を適用する
ぶくぶくが3週間で動いた経験から、顔つけにも同じアプローチを取ります。お風呂で親が顔をつけて見せる動作を、毎日繰り返す。すぐに効くわけではないことを知っているので、焦らず待つつもりです。3週間後にスイッチが入るかもしれないし、入らないかもしれません。
学研の記事(水泳インストラクター長岡小夜子氏)では、お風呂での水慣れトレーニングとして「頭からお湯かけ」→「ブクブク」→「顔つけ」の段階的なステップアップが解説されています。わが家もこの順番を踏んでおり、最後のステップが残った形です。
親が学んだ3つのこと
1. 効いていないように見えても続ける価値がある
3月時点で「作戦3は不発」と判断しかけました。あの時点で見本を見せるのをやめていたら、今回の進展はなかった可能性が高い。「効いていない」の判断は、3週間程度では下せません。
2. 進展は「マスター」ではなく「一度できた」から始まる
ぶくぶくは進級テストで合格しましたが、お風呂では今でもできる日とできない日があります。「一度できた」と「マスターした」は別物です。子どもの成長は階段を上るのではなく、緩やかな坂を行ったり来たりしながら少しずつ上がっていくイメージに近い。
3. 同じ壁が次のステップでも立ち上がる
顔つけに対する息子の反応は、ぶくぶくの時と完全に同じです。これは「ぶくぶくの経験が活きていない」のではなく、「次の難易度では同じ壁が再構築される」だけです。スイミングはSTEAM教育のS(科学)を体で学ぶ場でもあり、各ステップで身体感覚を更新していく学習プロセスです。
よくある質問
- Q2歳児のぶくぶくは何ヶ月で習得できますか?
- A
個人差が大きい領域です。わが家の場合、初版記事の公開時点(2026年3月)から約3週間で「一度できた」段階に到達しました。ただしこの3週間の前にもスイミング教室には通っており、累計の練習期間は数ヶ月単位です。「3週間でできるようになる」と期待するのではなく、「いつか動くタイミングがある」という前提で見守るのが現実的です。
- Qお風呂での見本は1日何回くらい見せればいいですか?
- A
わが家では毎日のお風呂タイムに2〜3回、親が交代で見せていました。回数を増やせば早く動くわけではなく、本人が「自分でやってみよう」と思うタイミングは外からコントロールできません。水泳インストラクターの長岡小夜子氏は「1日の練習回数を事前に決めて、回数を守る」ことを推奨しており、増やしすぎないこともポイントです。
- Q進級テストの合否を子どもに伝えるべきですか?
- A
2歳9ヶ月の段階では、本人が「テスト」「合格」という概念を理解していない可能性が高いです。わが家では合否そのものではなく、「ぶくぶくできたね、すごいね」と動作の達成を褒める形にしました。テスト合格を成功体験として伝えるのは、もう少し年齢が上がってからでも遅くありません。
- Qぶくぶくはできたのに顔つけを嫌がるのは普通ですか?
- A
発達のステップは細かく刻まれており、ぶくぶく(口だけ水につける)と顔つけ(顔全体を水に沈める)は別の動作です。視界が水で覆われる感覚への抵抗は、ぶくぶくにはない要素です。一段クリアしたから次も同じ調子で進む、とは限りません。同じアプローチ(見本を見せ続ける)で気長に待つのが現実的です。
- Q前回記事との違いは何ですか?
- A
初版記事(2026年4月公開)は「成功ゼロの試行錯誤記録」でした。本記事は3週間後にぶくぶくが動き、進級テストに合格した「進展の記録」です。同じテーマですが、視点が「できない時点」から「できた時点」に切り替わっています。経過を時系列で読みたい方は初版から読むことをおすすめします。
まとめ
ぶくぶくは初版公開から約3週間で動きました。3月時点で効果がないように見えた作戦3(親が見本を見せる)が、遅れて効いていた形です。2歳児の模倣学習は、その場で再現されないだけで内側に蓄積されているを体感しました。次に、進展は「マスター」ではなく「一度できた」段階で、お風呂でもできる日とできない日があります。1歩前進ですが、しっかりした1歩ではなくよろよろの1歩です。次の壁である顔つけにも、同じアプローチで臨みます。すぐに効くことは期待せず、3週間後にスイッチが入るかどうかを見守る予定です。
ベビースイミング協議会の「焦らず、比べず、諦めず」という言葉が、今回の経験で改めて腑に落ちました。1歩1歩だなと痛感しています。同じように「ぶくぶくだけができない」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。スイミング以外にも体のチャレンジは続きます。3歳前後で次にくるテーマの自転車については、5モデルを実際に評価した結論で「身長を待つ判断もある」と整理しました。

ぶくぶくは3週間で動きました。顔つけがいつ動くかは分かりません。3週間かもしれないし、3ヶ月かもしれない。「諦めずに見本を見せ続ける」だけが筆者にできることだと、今回の進展で確信しました。


