
正直、最初は「2〜3歳にAIなんて早すぎ」と思っていました。でも親が横で操作する前提なら、危ないどころか会話のきっかけになる。今回の講座は専門学校生向けですが、家庭で何ができるかのヒントが詰まっています。
「AIショートアニメ実践講座」とは?
ニュースを最初に見たとき、「専門学校がここまでやるのか」と少し驚いた。生成AIで縦型のショートアニメを作る、高知発の実践講座だ。
龍馬学園・高知県・Chammiの共同開講
この講座は、高知県と学校法人龍馬学園、そして株式会社Chammiの共同で開かれる。Chammiは、AIアニメからショートドラマまで幅広い映像を作る会社で、代表の武井氏らが講師を務める。高知県が動いている理由ははっきりしていて、アニメを軸にしたコンテンツ産業を地域に根づかせ、その担い手を育てたいからだ。県の公式リリースでも、AIを使った映像制作や高知をテーマにしたショートアニメ制作を学ぶ内容だと案内されている。
対象となる学生と一般参加枠
メインの対象は龍馬学園の学生だ。龍馬情報ビジネス&フード専門学校のゲームクリエイター学科2年生と、龍馬デザイン・ビューティ専門学校のマンガ学科・グラフィックデザイン学科の学生が受ける。そこに外部からの一般参加枠も用意されている。ただし枠は5名と少なく、受講できる日程・会場も限られる。公式の案内では龍馬デザイン・ビューティ専門学校の回が対象とされているため、参加できるかどうかはChammiの公式講座ページで確認してほしい。
講座の日程と開催校
各校とも全2回、1回90分の構成だ。開催校と日程を整理しておく。
| 開催校 | 1日目 | 2日目 |
|---|---|---|
| 龍馬デザイン・ビューティ専門学校 | 6月23日(火)10:20〜11:50 | 7月14日(火)10:20〜11:50 |
| 龍馬情報ビジネス&フード専門学校 | 6月24日(水)14:30〜16:00 | 7月13日(月)13:10〜14:40 |
各回の内容は同じで、講義から制作、講評までを2回に分けて進める。
生成AIで作るショートアニメの魅力
ここからが、親としても面白いと思った部分だ。
AI映像制作の最前線を実践で学ぶ
講座の軸は、座学で終わらないところにある。生成AI映像制作の今を知ったうえで、受講生が自分の手で1本のショートアニメを作りきる。聞いて理解するのと、作って失敗するのとでは、身につき方がまるで違う。これは大人の仕事でも子どもの遊びでも同じで、手を動かした分だけ残る。
9:16縦型フォーマットの特徴
作るのは9:16の縦型アニメだ。
横長のテレビ映像ではなく、子どもや若い世代が毎日触れている縦画面を前提にしている。見る側に一番届く形で作る、という割り切りがいい。
キャラクターも背景もAIで生成
これまでアニメを作ろうとすると、まず「絵が描けること」が壁だった。今回の講座では、受講生が生成AIでキャラクターも背景も作る。頭の中のイメージを言葉で指示すれば、素材が出てくる。描く技術がなくても物語を映像にできる–この前提の変化が、講座のいちばんの肝だと思う。そして同じことは、ツールさえあれば家庭でもできる。
講座で学べる内容と進め方
講義・自主制作・作品講評の3ステップ
2回の講座は、大きく3つの流れで進む。
- STEP1講義
生成AIを使った映像制作の基礎と最前線を学ぶ。何ができて、どう作るのかの土台をそろえる。
- STEP2自主制作
受講生が高知をテーマに、キャラクターと背景を生成AIで作り、9:16の縦型ショートアニメに仕上げる。
- STEP3作品講評
プロクリエイターが一人ひとりの作品を見て講評する。作って終わりにせず、次に活きる視点を受け取る。
高知の風景や物語をテーマに制作
テーマが「高知」に絞られているのも面白い。自分の住む土地の風景や物語を題材にすると、作品に体温が宿る。さらに優秀作品は高知県の公式メディアへの掲載も検討されているという。地元を描いたものが地元に届く、という循環が用意されている。
プロクリエイターによる作品講評
家庭でAIアニメを作るときに一番足りないのが、この「講評」だ。作品を客観的に見てもらい、どこが効いていてどこが惜しいかを言葉にしてもらう機会は、独学だとなかなか得られない。プロからのフィードバックが入る点は、講座ならではの価値だと感じる。
子どものAI教育に広がる可能性
専門学校生の話に見えて、実は小さい子を育てる家庭にも地続きのテーマだ。
「作りたい」を形にする生成AI
絵を描くのが苦手な子は、頭の中の「これ作りたい」を出す手段がずっと限られてきた。生成AIはその壁を一気に下げる。言葉で伝えれば、キャラも背景も数秒で形になる。我が家でも親のスマホでAIを操作して、子どものリクエストを絵にする遊びをしてきたが、完成度はともかく「自分の言葉で何かが生まれる」体験そのものが子どもを夢中にさせた。声でAIを使った2歳とのAI音声会話を試した記録でも、子どもは大人が思うより早く使い方を掴んでいた。

「描けないから作れない」がなくなるのは、想像以上に大きいです。出てきた絵に文句を言って、言葉を変えてやり直す。その試行錯誤が、そのまま考える練習になっていました。
地域とコンテンツ産業をつなぐ学び
高知県が講座に力を入れる背景には、アニメを軸にしたコンテンツ産業を地域に根づかせ、人材を育てたいという狙いがある。地元の風景や物語を題材にするのもそのためだ。「好きなものを作る」が「地域の仕事につながる」道筋を、学生のうちから見せている。子どもにとっても、創作が将来の選択肢になりうると示す事例になる。
親が知っておきたい次世代スキル
AIに仕事を奪われる、という不安はよく聞く。けれど講座が育てようとしているのは、AIに使われる側ではなく、AIを道具として使いこなす側だ。何を作るかを決め、出てきたものを見て判断し、直す。この力は、家庭での関わり方でも育てられる。AIとの付き合い方を年齢ごとに整理したAI時代に子どもへ残したい力も、考える材料になる。
家庭で始める生成AIアニメ入門
講座と同じことを、規模を小さくして家庭で試せる。身構えなくていい。
親子で試せるAIツール
最初の一本は、Canvaが扱いやすい。CanvaのMagic Mediaという機能で、文章から画像や短い動画を作れて、講座と同じ9:16の縦型も選べる。日本語の指示にも対応していて、無料プランでも試せる(無料枠の画像生成はアカウントごとの生涯回数に上限あり・2026年6月時点)。気をつけたいのは年齢で、一般向けアカウントには年齢要件があるため、未就学〜低学年の子と使うなら保護者のアカウントで親が操作する共同利用が前提になる(利用規約は事前に確認を)。年齢別のツールや始め方は年齢別に整理したAI教育の始め方に詳しい。
具体的な進め方は、次の流れが分かりやすい。
まず保護者が自分のアカウントで、AIに絵を1枚作らせてみる。操作感と「どんな言葉で何が出るか」を体で掴む。
子どもの「これ見たい」を、二人でプロンプト(指示文)に翻訳する。色・場所・気分を足すと絵が変わる体験が、そのまま学びになる。
出てきた絵を見て笑い、気に入らなければ言葉を変えてやり直す。この「直す」過程がいちばん面白い。
利用時間・課金・個人情報の扱いを家庭で先に決めておく。細かいルール作りは下の記事に譲る。
安全に楽しむためのポイント
生成AIで作るとき、画像や動画ならではの注意点がある。まず、実在の有名人や人気キャラクター、企業ロゴをそのまま作らせないこと。これはCanvaの安全な使い方の方針でも禁止されている。日本では2026年時点で、AIが作った画像に著作権は原則認められないという見解が主流なので、自分だけの権利として扱えない前提で考えておくと安心だ。
実在の有名人・人気キャラクター・企業ロゴは作らせない(ツールの規約でも禁止されている)
作品を公開・応募するときは「AIで作った」ことと、参考にしたものがあれば明示する
無料プランの生成回数や課金は、保護者のアカウントでまとめて管理する
顔写真や名前・住所をプロンプトに入れない。サービスのデータ学習設定も確認する
生成AIそのものの家庭ルール–使う時間、依存しない工夫、「答えをもらう」ではなく「一緒に考える」に寄せる声かけ–は、0〜4歳から始める生成AIの家庭ルールにまとめている。親自身が仕組みから押さえたいなら、小学生と保護者向けの生成AI入門書もある。文章・絵・音楽・動画の作り方から、プライバシーや安全な使い方までを、子ども向けのやさしい言葉と会話形式でカバーした一冊だ(2025年8月発売・定価1,760円、価格は変動する)。
よくある質問(FAQ)
- QAIショートアニメ実践講座は誰でも参加できますか?
- A
主な対象は龍馬学園の専門学校生です。外部からの一般参加枠もありますが、定員は5名で、受講できる日程・会場も限られます。日程や申込方法、空き状況は主催のChammiが用意した公式の講座ページで確認してください。学生でない場合でも、講座の考え方は家庭での実践に十分応用できます。
- Q家庭では何歳から生成AIアニメを始められますか?
- A
親が操作する「共同利用」なら、未就学のうちから絵を一緒に作る遊びは可能です。子どもが自分で文章を入力して操作するのは、5〜8歳より上が一つの目安になります。9〜12歳なら作品づくりの主導権を少しずつ渡し、13歳〜は著作権や安全な使い方まで自分で考えられるよう促す、と段階を分けると進めやすいです。
- Q無料で使えるAIツールはありますか?
- A
Canvaには文章から画像や動画を作るMagic Mediaという機能があり、無料プランでも試せます。ただし無料枠の画像生成はアカウントごとの生涯回数に上限があり、継続して使うなら有料プランが前提になります(2026年6月時点)。まずは無料枠で「どんな言葉でどんな絵が出るか」を親子で体験するところから始めるのがおすすめです。
- QAIで作った作品を公開したり応募したりしてもいいですか?
- A
公開や応募自体はできますが、注意点があります。日本では2026年時点で、AIが作った画像に著作権は原則認められないという見解が主流です。実在の有名人や人気キャラクター、企業ロゴをそのまま作るのも規約違反になりやすいので避けてください。公開するときは「AIで作った」ことを添えると、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
- Q子どもがAIに頼りすぎないか心配です。
- A
心配なら、AIを「答えをもらう道具」ではなく「一緒に考える相手」として使う形に寄せると安心です。出てきた絵に「どこを直したい?」と問い返したり、画面を離れて実際に手で描く時間を残したり。デジタルとリアルを行き来させるほど、子どもはAIを冷静に使えるようになります。
まとめ:AI時代の表現を子どもと楽しもう
- 高知県・龍馬学園・Chammiが、生成AIでキャラも背景も作る9:16縦型ショートアニメの実践講座を2026年6月に開講する
- 講座は専門学校生と一般参加枠が対象だが、「作りたいを形にする」生成AIの使い方は家庭でも親子で試せる
- 家庭では親が操作する共同利用から始め、著作権や課金などのルールを先に決めておくと安心
講座から見えるこれからの学び
この講座が面白いのは、「絵が上手いか」を問うていないところだ。キャラも背景も生成AIで作り、プロが講評し、優秀作は県の公式メディアに載るかもしれない。技術の壁が下がったぶん、評価されるのは「何を作りたいか」になっている。これは専門学校生だけの話ではなく、いま小さい子を育てる家庭にも同じ波が来ている。
今日からできる第一歩
まず親が一度、自分のスマホでAIに絵を1枚作らせてみる。思っていたより簡単で、思っていたものと違う絵が出てくる。それを子どもに見せて「次は何作る?」と聞けば、もう第一歩は踏み出せている。完成度より、その会話のほうがずっと値打ちがある。

完璧な作品を作る必要はないと思っています。プロンプトを一緒に考えて、出てきた絵に笑う。その時間が、子どもにとって一番のAI教育になる気がしています。


